ICTで創る生活支援者見守りネットワーク

共創されたポイント※ 更新:2017年5月17日

ICT機器を活用して日々の見守り情報を共有し、住民・事業者を含めた支え合いを組織化

岩手県滝沢市において、ICTを活用した”おげんき発信“(利用者の能動的な発信)による見守り情報システムを基盤にして、生活支援者のネットワークづくりが進められています。その中でも、おげんき発信を開発した岩手県立大学が立地する川前地区では、グループインタビューを契機に、大学・社会福祉協議会・地域住民・民間事業者を交えた「川前地区高齢者支援連絡会」が立ち上がり、継続的な対話の場として機能しています。そこでは、地域に点在する生活支援者をつなげながら、地域の特徴に合わせたネットワークの構築が進められています。

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おげんき発信とみまもり

おげんき発信は、岩手県立大学が地域と連携して開発したICTによる見守りシステムです。利用される高齢者(おげんきさん)は毎朝自分で自動応答サーバに電話をかけ、自らその日の体調、様子を番号を押すことで発信します。このように日頃から自ら発信することで、遠慮感をなくし、自立支援にもつながります。日々の発信状況を管理するために、地域にみまもりセンターを設置します。

ICTを活用した安否確認システムの特徴
おげんき発信の様子

おげんき発信を活用した生活支援型コミュニティの仕組み

おげんき発信による見守りは、おげんき発信とみまもりセンターだけでは適切に機能しません。日々の生活を支える人の存在が重要です。そのため、おげんき発信の普及促進と生活支援者ネットワークづくりは、両輪で進める必要があると考えていました。そこで、川前地区では、みまもりセンターに加え、高齢者支援連絡会を立ち上げ、支援者ネットワークづくりを進めています。


川前地区高齢者支援連絡会の取り組み

川前地区高齢者支援連絡会は、みまもりセンターを担う岩手県立大学、滝沢市社会福祉協議会に加えて、民生委員、自治会長、地元民間事業者 ((株)ケアサービスまごのて 等)といった顔ぶれで構成されています。日々の支援活動と定期的な会議を通して、情報・課題の共有から新たなサービスの検討・開発まで、幅広い取り組みを進めています。


ICTを活用した生活支援型コミュニティづくりのきっかけ

岩手県立大学の研究チームの調査から、岩手県では高齢者の社会的孤立化が進む一方で、見守られる立場になった場合の高齢者の遠慮しがちな心理的特徴が明らかになりました。また、過疎化の進展で社会資源の脆弱化も進んでいました。そこで支え合う互助機能の再構築が必要と考え、ICTによる見守りシステム開発と、これを活用したコミュニティづくりに着手しました。いずれも「個人の価値意識、社会資源」における地域性に合わせて進めることを大切にしています。


ICTを活用した生活支援型コミュニティづくりを通して共創された成果

高齢者支援連絡会は平成25年に立ち上がってから継続的に会議を行っており、平成29年2月現在で26回にのぼります。顔の見える会議を積み重ね、課題も共有しつつ、実体の伴った支援者ネットワークを築き上げています。見守られる側も日ごろからの発信を通して見守られ上手になりながら、地域でお互いを支え合う関係性、互助の文化が少しずつ根付いています。

また、滝沢市の地域福祉計画(平成28年度~平成34年度) で 紹介されたり、川前地区等での経験を踏まえた他地域のコミュニティづくりにつながったりと、広がりを見せています。

川前地区高齢者支援連絡会の様子
重層的・一元的な見守り体制による生活支援コミュニティづくり()